
デジタルグリッドプラットフォームとは?電力調達でできること・仕組み・メリットを解説
電気料金の高騰や価格変動への対策として、電力の調達方法を見直す企業が増えています。
デジタルグリッドプラットフォーム(DigitalGrid Platform / DGP)は、市場連動型と固定価格での調達を柔軟に組み合わせ、企業ごとのニーズに合った電力調達を実現するプラットフォームです。
本記事では、DGPの仕組みや従来の電力会社との違いをはじめ、市場連動型と固定価格を組み合わせたハイブリッド調達の特徴、導入メリットや実際の企業事例を紹介します。
この記事でわかること
- デジタルグリッドプラットフォームとは?従来の電力会社のプランとの違い
- 電力調達でできること、電源や価格を自社で選ぶ仕組み
- 市場連動と固定価格を組み合わせたハイブリッド調達でリスクヘッジ
デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)とは
デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)は、デジタルグリッド株式会社が運営する、日本初の民間企業による電力取引市場です。
従来のように電力会社が用意した料金プランから選ぶだけでなく、電力市場や発電事業者からの調達を組み合わせ、企業ごとの電力使用状況や経営方針に合わせた電力調達を実現します。
特に、市場連動型と固定価格での調達を柔軟に組み合わせられる「ハイブリッド調達」が特徴です。固定価格で調達する電力量だけでなく、曜日や時間帯、期間なども自社の電力使用状況に合わせて設計できるため、電力コストの最適化と価格変動リスクへの対応を両立しやすくなります。

従来の電力会社のプランとの違い
DGPでは、電源や調達方法を企業ごとのニーズに合わせて柔軟に組み合わせられます。
従来の電力会社のプランとの主な違いを、以下の表にまとめました。
比較する視点 | 従来の電力会社のプラン | DGP(オーダーメイド型) |
|---|---|---|
選び方 | 用意されたプランから選ぶ | 電源・価格・再エネ比率を組み合わせて設計できる |
電源 | 事業者側に委ねる | 電力市場や発電事業者から調達先を選べる |
料金体系 | 事業者が設定する | 市場連動型と固定価格を柔軟に組み合わせられる |
固定価格の設計 | 固定する電力量や時間帯などに制約がある場合がある | 電力量・曜日・時間帯・期間を自社の使用状況に合わせて柔軟に設計できる |
再エネ | メニューに依存する | 再エネ比率を自社の方針に合わせて設定できる |
DGPでは、従来のように用意された料金プランから選ぶだけでなく、企業の電力使用状況や経営方針に合わせて、調達方法を柔軟に設計できます。
「自社で電力調達を設計する」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、電力調達の専門スタッフが現在の電力使用状況やご希望を確認し、企業ごとに適した調達プランをご提案します。
専門的な知識がなくても導入を検討できますので、電力契約の見直しをお考えの方はお気軽にご相談ください。
デジタルグリッドプラットフォームで何ができるのか
DGPでは、電力の調達先や価格の決め方、再生可能エネルギーの比率を、企業ごとのニーズに合わせて柔軟に選択できます。
ここでは、電源の選択と、市場連動型・固定価格を組み合わせたハイブリッド調達について解説します。
電源を選んで調達する
DGPでは、電力市場からの調達に加え、発電事業者と直接契約して電力を調達することができます。従来のように電力会社が用意したプランから選ぶだけでなく、複数の調達先を組み合わせられる点が特徴です。
例えば、電力市場からの調達を基本としながら、特定の発電事業者から電力を調達したり、再生可能エネルギー由来の電力を組み合わせたりすることも可能です。
このように、企業ごとの電力使用状況やコスト削減方針、脱炭素目標などに応じて、調達先や電源を柔軟に選択できることがDGPの強みです。

市場連動型と固定価格を組み合わせる
DGPでは、電力市場の価格に応じて電気料金が変動する「市場連動型」と、あらかじめ単価を決めて調達する「固定価格」を組み合わせたハイブリッド調達が可能です。
大きな特徴は、固定価格で調達する電力量や時間帯、曜日、期間などを、企業の電力使用状況に合わせて柔軟に設計できることです。
例えば、平日の日中だけ固定価格で調達したり、電力使用量が増える夏場の数か月だけ固定価格の割合を高めたりするなど、企業ごとの需要パターンに合わせた調達ができます。
これにより、市場価格が安いときのメリットを活かしながら、価格高騰の影響を受けやすい時間帯や期間のリスクを抑えるなど、電力コストと価格安定性のバランスを調整できます。

デジタルグリッドプラットフォームの仕組み
電力取引には、需給管理(電気を使う量と作る量を合わせること)や取引システムの運用など、専門的で複雑な業務が伴います。
DGPでは、AI技術を活用して電力の需要量や発電量を予測し、余剰電力の売却から不足分の調達までを一元的に管理することで、効率的な電力調達を実現しています。
さらに、契約管理や電力取引、請求などの実務も当社が担うため、導入企業が専門的なシステムを用意したり、複雑な取引業務を自社で行ったりする必要はありません。
そのため、一般的な電力会社との契約と同じように、特別な専門知識や運用負担を必要とせず、柔軟な電力調達を実現できます。

再エネの調達比率や方法を柔軟に選べる
DGPでは、企業の脱炭素目標や予算に合わせて、再生可能エネルギーの調達比率や調達先を柔軟に選択できます。
例えば、使用する電力の一部から再エネを取り入れ、段階的に比率を高めていくことも可能です。すべての電力を一度に再エネへ切り替える必要はなく、コストとのバランスを考えながら、自社に合った再エネ調達を進められます。
【再生可能エネルギーの調達方法】
・再エネ電力の直接調達: 太陽光や風力などの発電事業者から、再エネ由来の電力を調達する
・環境価値の調達: 非化石証書などを活用し、電力の使用に伴うCO2排出量の削減につなげる
・コーポレートPPA: 発電事業者と長期契約を結び、再エネ電力や環境価値を継続的に調達する当社では、DGPによる柔軟な電力調達に加え、コーポレートPPAのマッチングを支援する「RE Bridge」や、非化石証書などの環境価値の調達を代行する「Econohashi(エコのはし)」も提供しています。
企業の脱炭素目標や電力使用状況に応じて、これらのサービスを活用することで、コストと環境対応の両面から自社に適した再エネ導入を検討できます。
デジタルグリッドプラットフォームを導入するメリット
DGPを導入することで、電力コストの削減や電気料金の安定化、脱炭素経営の推進など、企業が抱えるさまざまな電力課題の解決につなげることができます。
ここでは、導入によって期待できる5つのメリットを紹介します。
1. 電力コストの削減につながる
電気料金は、企業の利益に直接影響する重要な経費のひとつです。特に電力使用量の多い企業では、わずかな単価の違いが年間の支出に大きな影響を与えます。
DGPでは、企業ごとの電力使用状況に合わせて調達方法を最適化することで、電力コストの削減を目指せます。
実際に、業種別の年間最大削減率は、製造業14%、社会福祉施設19%、小売業13%、不動産12%、医療15%、宿泊業16%です。
※当社導入事例の一例であり同様の効果を保証するものではありません。削減効果は電力使用量、市場環境、契約条件等により異なります。2. 電気料金の見通しを立てやすくなる
電力市場の価格変動は、企業の予算管理や経営計画に影響を与える要因のひとつです。特に電力使用量の多い企業では、想定外の電気料金の上昇が経営を圧迫することもあります。
DGPでは、発電事業者との相対契約による固定価格調達に加え、電力先物市場を活用した価格変動リスクのヘッジを組み合わせることで、市場価格の高騰による影響を抑え、電気料金の安定化を図ることができます。
これにより、将来の電力コストの見通しを立てやすくなり、年間予算の策定や中長期的な経営計画にも役立ちます。
3. 電気料金の内訳を見える化できる
一般的な電力契約では、電気料金の内訳や価格の決まり方がわかりにくく、何がコスト増加の要因になっているのかを把握しづらい場合があります。
DGPでは、電力の調達コストや各種費用を明示することで、電気料金の透明性を高めています。
実際に、日本赤十字社医療センターでは、料金の試算根拠や各種費用の説明が明確だったことが、DGPを選ぶ決め手のひとつとなりました。
また、導入後は卸電力市場の価格をグラフで確認できる点も評価されており、電力使用のタイミングを工夫するなど、さらなるコスト最適化への活用も期待されています。
■電気料金の内訳を公開する「完全パススルー方式」
DGPでは、電力の調達費用や送配電設備の利用料など、電気料金を構成する各項目と計算方法を明確にしています。
一般的な電力契約では、容量拠出金などの費用が基本料金や電力量料金に含まれている場合もあり、個々の費用を把握しにくいことがあります。
一方、DGPでは、DGP利用手数料以外の費用を原価で請求する「完全パススルー方式」を採用しています。各料金項目を明示することで、電気料金の内訳やコストの変動要因を把握しやすくなっています。
主な料金項目と計算方法は、以下のとおりです。
料金項目 | 計算方法 | 支払先・関連事業者 | 内容・仕組み |
|---|---|---|---|
託送基本料金 | 託送基本料金単価 × 契約電力(kW) | 一般送配電事業者 | 電力を届けるための送配電設備を維持・管理する費用。契約電力に応じて計算されます。 |
託送従量料金 | 託送重量料金単価 × 電力使用量(kWh) | 一般送配電事業者 | 送配電設備を利用するための料金。実際に使用した電力量に応じて計算されます。 |
電力調達費 | 調達単価 × 電力使用量(kWh) | 電力市場(JEPX)・発電事業者 | 電気そのものの調達費用。市場価格や発電事業者との契約条件によって決まります。 |
DGP利用手数料 | 手数料単価 × 電力使用量(kWh) | デジタルグリッド | DGPの利用にかかる手数料。あらかじめ定められた手数料単価と電力使用量に基づいて計算されます。 |
再エネ賦課金 | 国が定める単価 × 電力使用量(kWh) | 費用負担調整機関(国の制度に基づき納付) | 再生可能エネルギーの普及を支えるため、電気の利用者が負担する費用。単価は毎年度、経済産業大臣が決定します。 |
容量拠出金 | OCCTOからの請求額に基づく | OCCTO(電力広域的運営推進機関) | 将来の電力供給力を確保するための容量市場に関連する費用。小売電気事業者の負担額は、過去の最大需要電力などを踏まえて算定されます。 |
4. コストを考慮しながら脱炭素経営を推進できる
脱炭素への対応が求められる一方で、再エネ導入によるコスト増加を懸念する企業も少なくありません。
DGPでは、企業の予算や脱炭素目標に応じた再エネ調達を支援することで、経済性と環境対応の両立を目指せます。
実際に、横河電機では、豊富な再エネメニューからニーズに応じて電力調達の内容を選べる柔軟性や、当社の継続的なサポートが評価されています。再エネ活用を進めることで、2040年としていたカーボンニュートラルの目標を2030年に前倒しで達成できる見通しを立てています。
このように、電力コストとのバランスを考慮しながら、自社の環境方針に沿った脱炭素への取り組みを進められます。
5. 「短期PPA」で再エネ活用と価格変動リスクの低減を両立できる
DGPでは、再生可能エネルギーを固定価格で調達する電力購入契約(PPA)を、1年から利用できます(特別高圧・高圧で契約する企業が対象です)。 本記事では、こうした短期間から利用できる再エネPPAを「短期PPA」と呼びます。
燃料価格の高騰を受けて、電力調達では価格の安定性が重視されるようになっています。高圧・特別高圧で契約する企業の担当者を対象とした当社の2026年7月の調査では、電力 契約や電力会社を見直す際に「料金の安定性を重視した」が51.7%と、「料金の安さを重視した」の35.3%を上回りました。
固定価格での調達は価格変動リスクを抑えられる一方、再エネのPPAは10〜20年程度の 長期契約が一般的で、導入のハードルとなっていました。短期PPAでは、使用する電力の一部について、再エネ電力を1年から固定価格で調達できます。調達する電力は非FIT電源を中心としており、環境価値もあわせて調達するため、自社の再エネ使用量として報告できます。
なお、短期の契約に対応できる発電事業者は限られます。DGPでは、当社がこれまで培ってきた発電事業者とのネットワークを通じて確保した電源の中から、ご希望の数量や時期に近い条件をご提案します。電源の状況によってはご希望に沿えない場合もあるため、まずはお気軽にご相談ください。
燃料価格の影響を受けにくい再エネを、長期契約の負担を抱えずに活用できるため、再エネ比率の向上と電力コストの安定化を同時に進められます。市場環境の変化を踏まえた調達の タイミングについても、検討段階から伴走してご提案します。
導入企業と実績
DGPは、製造業や医療機関、宿泊施設など、幅広い業種の企業に導入されています。2026年5月時点で導入企業数は1,300社以上、発電・需要拠点数は6,000拠点を超えています。
実際に、山口県の老舗旅館「大谷山荘」では、DGPの導入によって年間約2,490万円の電気料金削減を実現しました。市場連動型と固定価格での調達を組み合わせることで、電力コストの削減と価格変動リスクへの対応を両立しています。
また、日立製作所では、再生可能エネルギーを含む多様な電源を柔軟に調達できる点が評価され、事業所ごとのニーズに合わせた電力調達に活用されています。
このように、DGPは企業の電力使用状況や経営方針に応じて、コスト削減から再エネ導入まで、幅広い電力課題の解決を支援しています。
詳しくは、各社の導入事例をご覧ください。
まずは電気料金の削減額をシミュレーション
DGPの導入によって、自社の電気料金がどのくらい削減できるのか気になる方は、まずは無料の電力コストシミュレーターをご利用ください。
現在の電力使用状況をもとに、電気料金の削減可能性を簡単に確認できます。
より具体的な電力調達の方法や料金プランについて知りたい方は、無料相談も受け付けています。自社の電力使用状況やご希望に合わせて、最適な電力調達プランをご提案します。
デジタルグリッドプラットフォームに関するよくある質問
デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)の仕組みや、電力会社の切り替えに関するよくある質問をまとめました。
Q. デジタルグリッドプラットフォームとは何ですか?
A. デジタルグリッド株式会社が運営する、日本初の民間企業による電力取引市場です。2020年2月にサービスを開始し、企業が電力の調達先や価格、再生可能エネルギーの比率を柔軟に選べる仕組みを提供しています。
Q. 従来の電力会社との違いは何ですか?
A. 最大の違いは、企業ごとのニーズに合わせて電力の調達方法を設計できることです。電力市場からの調達や発電事業者との直接契約を組み合わせ、コスト削減や価格の安定化、再エネ導入などを目指せます。
Q. DGPに切り替えると電気の品質や安定供給に影響はありますか?
A. いいえ。電気はこれまでと同じ地域の送配電網を通じて供給されるため、DGPへの切り替えによって電気の品質が低下したり、停電しやすくなったりすることはありません。
Q. 新電力への切り替えは不安ですが、安心して利用できますか?
A. はい。電気の供給は地域の送配電網が担うため、これまでと変わりません。そのうえでDGPでは、AI技術を活用した需給管理や電力取引の効率化によって、安定的な電力調達を支えています。また、万が一、小売電気事業者が事業から撤退した場合でも、他社への切り替えや、所定の手続きによる最終保障供給など、電力供給を継続するための制度が設けられています。
Q. 電力取引の専門知識がなくても利用できますか?
A. はい。電力取引や需給管理、契約・請求などの専門的な業務は当社が担うため、企業側で独自の取引システムや専門人材、資格などは不要です。一般的な電力会社との契約と同じように利用できます。
Q. DGPには契約期間の縛りや解約金はありますか?
A. DGPでは、基本的に契約期間の縛りや解約金はありません。ただし、固定価格での調達やコーポレートPPAなど、一部の契約では契約期間や解約条件が異なる場合があります。詳しくはお問い合わせください。
Q. 固定価格で調達した電力が余った場合はどうなりますか?
A. 使用量が固定価格で調達した量を下回った場合、余った分は当社が卸電力市場で売却し、その売却額をもとに精算します。お客様が売電の手続きを行う必要はありません。ただし、売却時の市場価格は固定価格を上回ることも下回ることもあるため、精算の結果として差額のご負担が生じる場合があります。
そのため、固定価格で調達する量は過去の電力使用実績をもとになるべく余剰が発生しない範囲で設計します。
まとめ|自社に合った電力調達でコスト削減と価格安定化を目指す

デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)は、企業ごとの電力使用状況やニーズに合わせて、電力の調達方法を柔軟に設計できる電力取引プラットフォームです。
特に、市場連動型と固定価格での調達を柔軟に組み合わせられる「ハイブリッド調達」が大きな特徴です。市場価格が安いときのメリットを活かしながら、固定価格での調達によって価格高騰リスクを抑えるなど、コスト削減と価格安定化の両立を目指せます。
また、調達先や再生可能エネルギーの比率も柔軟に選べるため、企業の脱炭素目標に合わせた電力調達にも対応できます。
現在の電力契約の見直しや、自社に合った調達方法をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の著者

デジタルグリッド編集部
日本初の民間企業による電力取引市場「Digital Grid Platform」の運営
デジタルグリッドのメンバーが執筆・監修しています。電力に関する基礎知識や再エネに関するコンテンツをみなさまにお届けしています。ご不明点などがあればお気軽にご相談ください。