
2026.7.30
目次
24時間稼働の空調、照明、厨房設備に加え、温浴施設を抱える宿泊業にとって、電気代は営業利益に直結する大きな固定費です。
山口県長門市の老舗旅館「大谷山荘」は、デジタルグリッドプラットフォームを導入し、わずか1年で約2,490万円のコスト削減を実現しました。
この記事では、大谷山荘が抱えていた電気代の課題、契約見直しのポイント、導入後の成果をご紹介します。
施設:大谷山荘(山口県長門市・長門湯本温泉/老舗温泉旅館)
課題:電気代の内訳が分かりづらく、既存契約では電気代を下げる打ち手が限られていた
対策:オーダーメイドで固定価格と市場価格を組み合わせ、価格変動リスクを抑えながら電気代の削減効果を狙う
成果:導入1年で約2,490万円のコスト削減に成功

■現状を的確に把握できてないままに議論をしていた。
デジタルグリッドプラットフォーム導入前、大谷山荘での電気代削減の取り組みは、現状を的確に把握できてないままに、設備担当者と議論をしていました。
しかしお客様の客室や施設の快適さを損なうような節電をするわけにはいかず、削減できる幅にも限界があります。
電気代は基本的に「電源単価×使用量+基本料金」で決まりますが、当時契約していた電力会社と、電源単価を交渉する余地は限られていました。
『(前年比等との比較の中で)価格の上昇を控えてほしい』とは言えても、電力会社のおかれた環境や、システムそのもの理解をしてないため、交渉のテーブルには乗りづらかったです。(大谷社長)

大谷社長がまず評価したのは料金体系の透明性でした。デジタルグリッドはパススルー方式を採用し、手数料を除くすべてのコスト項目を原価で開示します。
これにより、コストを次の3つに切り分けて把握できるようになりました。
・自社の努力で変えられるもの(使用量・運用の最適化など)
・外部要因で変わるもの(市場価格・燃料価格など)
・制度上の義務的なもの(再エネ賦課金・容量拠出金など)
たとえば再エネ賦課金は、2024年度の3.49円/kwhから2026年度には4.18円/kwhへ上昇しています。
制度変更による不可避なコスト増も、要因がすぐに明快に分かっていれば、誤った指示を設備担当者にしなくて済みます。
理解せずに『高い』と感じることほど、愚かなことはありません。『ここは、コントローフ不能だ。仕方ない』『ここは我々の努力が必要だ』と明快に判断できるようになりました。無駄に『高い』という感情に振り回されず、努力によって削減できることに集中することができました。(大谷社長)
導入から1年間の成果は、約2,490万円のコスト削減となりました。
導入前のシミュレーションでは「従来の契約と比べて約2,147万円安くなる見込み」でしたが、結果は試算値を大きく上回る結果に。
電力の52%を市場から調達することでコスト削減をしつつ、残りを先物取引によりあらかじめ価格を固定することで、市況高騰のリスクヘッジもできました。
▼実績
導入1年での削減額:約2,490万円の削減
調達方法:市場連動+固定価格の組み合わせ
電力使用量(月間):約53万kWh
固定単価での調達比率:約48%(約26万kWh)/残りはJEPX市場連動
デジタルグリッドプラットフォームでは、市場からの調達だけではなく、固定単価を組み合わせたオーダーメイドでの調達も可能です。
中東情勢の緊迫化でLNG(液化天然ガス)の価格が乱高下した局面でも、固定部分があったことで影響を最小限に抑えられたといいます。
さらに、前年(2025年6月)の段階で有利なタイミングを見計らって追加の固定調達を決定し、価格変動リスクを先手で低減しました。
担当者の菱本さんは、親身に相談に乗ってくれる素晴らしい方です。『来月この水準に動きそう』『3か月後くらいに見積もりを取るといい』と、世界情勢と電力市場の動きをセットでアドバイスいただき、よりよい経営判断に導いてくれます。(大谷社長)
デジタルグリッドでは契約後も最新のエネルギー市況をお伝えし、最適な電力調達をサポートしています。
定期的に最新市況セミナーも開催しているので興味のある方はぜひお問い合わせください。

単価の最適化が一段落した今、大谷山荘が次に見据えるのは使用量そのものの削減です。
デジタルグリッドのプラットフォームでは30分単位の電力データを確認でき、これを運用改善に活用しています。
設備投資とデータ活用による運用改善の両輪で契約電力のベースを引き下げられれば、基本料金そのものの削減につながります。
▼大谷山荘での運用改善例
・ ピーク時間帯の冷暖房稼働タイミングの調整
・館内のパブリック施設のポンプ出力の調整
・館内照明の95%以上をLEDへ移行の完了
・給湯をエコキュートへ変更の完了
・集中空調から個別空調への移行の完了
大谷社長は、今回の経験を通じて「安心できるディフェンス態勢ができました」と語ります。
電源単価を固定で調達することができるため、情勢が急変しても上昇幅が抑えられ、市場が下がったときはその恩恵を受けられるリスクとリターンのバランスが取れた設計です。
規模の大きな旅館・ホテルほど、電力費が営業利益に直結します。電気の仕入れも『選択できる時代』になりました。ぜひ参考にしてほしいです。(大谷社長)

デジタルグリッドが掲げるミッションは「エネルギーの民主化」です。
これまで電力の調達は、大手電力会社が提示する価格を受け取るしかありませんでした。
世の中の多くのサービスは自分で選べるのに、電気だけは選択肢がない。
その状況を変え、主導権を電力の使い手側に取り戻すことを目指しています。
デジタルグリッドでは、企業の電力調達最適化を支援しています。
電力契約の見直しによる削減可能性を確認したい方は、お気軽にご相談ください。