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高圧電力とは?低圧との違い・料金の仕組み・高圧契約のメリット・デメリットを解説
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高圧電力とは?低圧との違い・料金の仕組み・高圧契約のメリット・デメリットを解説

電力知識

電気の契約種別には「低圧」「高圧」「特別高圧」の3種類があります。中規模以上のビル・工場・病院などの施設では高圧電力が用いられますが、その仕組みや低圧との違いについて理解している担当者は多くありません。

この記事では、高圧電力の定義・料金の仕組み・デマンド制度・キュービクルの役割・力率割引まで、分かりやすく体系的に解説します。

この記事でわかること

  • 高圧電力と低圧電力の違いとは?
  • 高圧の電気料金が決まる仕組み
  • 高圧契約に切り替えるメリットと注意点

高圧電力とは:定義と対象施設

電気設備の技術基準では、使用電圧に応じて低圧・高圧・特別高圧に区分されています。まずはこの3区分の違いを表で整理しておきましょう。

区分

電圧の目安

契約電力の目安

主な対象施設

低圧

600V以下(100V・200V)

50kW未満

一般家庭・小規模オフィス・小規模店舗

高圧

600V超〜7,000V以下(6,600V)

50kW以上〜2,000kW未満

中規模ビル・工場・病院・学校・スーパー

特別高圧

7,000V超

2,000kW以上

大型工場・百貨店・データセンター・鉄道

この通り、高圧電力とは電圧が600Vを超え7,000V以下の電力供給を受ける契約区分のことです。

高圧の対象となる施設の目安

高圧電力の利用例としては、中規模のオフィスビル・食品スーパー・工場・病院・学校・ショッピングセンターのテナントなどが該当します。マンションの場合、高圧一括受電を採用している物件では建物全体が高圧で受電しています。

契約電力50kW以上は、高圧受電となる代表的な基準です。ただし、実際の受電電圧や契約条件は、設備構成や供給条件などによって異なります。正確な区分は、電力会社や電気工事会社に確認してください。

高圧電力を利用するには受変電設備が必要

高圧電力を利用するには、高圧で受電した電気を施設内で使用できる電圧に変換する受変電設備が必要です。代表的な設備として、キュービクル式高圧受電設備があります。

電力会社から送られてくる高電圧(一般的に6,600V)を、建物内の設備で使用できる電圧(100V、200V、動力用200Vなど)に変換する装置です。

高圧受電設備は、施設の所有者や管理者が適切に維持管理する必要があります。自家用電気工作物では、原則として電気主任技術者の選任が必要です。一定の要件を満たし、承認を受けた場合は外部委託承認制度を利用して保安管理業務を外部に委託できます。

設備の導入費用や維持管理費は、設備容量・設置条件・工事内容などによって大きく異なるため、導入時には個別に見積もる必要があります。

保安点検費や電気主任技術者・保安管理業務に関する費用、機器の経年劣化による修繕費なども発生するため、ランニングコストとして事前に見込んでおく必要があります。

賃貸テナントや既存の低圧設備の建物では、キュービクルを新たに設置するためのスペース確保・電気室の工事が別途必要になるケースもあります。高圧への切り替えを検討する際は、キュービクルの設備工事可否を事前に確認してください。

変電設備イメージ

高圧と低圧の料金体系の違い

高圧電力と低圧電力では、料金の計算方法が根本的に異なります。この違いを理解しないまま高圧契約を結ぶと、予想外に高い電気代が発生することがあります。詳しくみていきましょう。

低圧の料金体系:契約アンペア・契約容量・最低料金など

低圧の基本料金の決まり方は、電力会社や料金プランによって異なります。契約アンペア数や契約容量に応じて基本料金が決まる方式や、最低料金を設定する方式などがあります。

高圧の料金体系:契約電力に応じた基本料金

高圧電力の基本料金は、契約電力をもとに算定されます。実量制が適用される契約では、30分間の平均電力から算出される最大需要電力(デマンド値)が契約電力の決定に影響します。

【高圧電力の基本料金計算式(実量制・500kW未満の場合)】
基本料金 = 契約電力(kW)×基本料金単価(円/kW)
契約電力 = 当月を含む過去12ヶ月の最大デマンド値(kW)
※契約電力の決定方法は電力会社・料金プランによって異なります。例えば東京電力エリアの一部高圧契約では、500kW未満は実量制、500kW以上は協議により決定されます。

実量制では、一度高い最大需要電力を記録すると、その値が当月を含む過去12か月の比較対象に含まれる間、契約電力に影響します。繁忙期や夏場などにピーク電力が上昇すると、その影響が一定期間続くため、日常的なデマンド管理が重要です。

逆に言えば、30分単位のピーク電力を抑えることで、契約電力や基本料金の削減につながる場合があります。このコントロールを「デマンド管理」と呼びます。

デマンド管理の具体的な方法としては、

・大型設備の同時起動を避けること
・デマンドコントローラーによる自動制御
・電力監視システムの導入

などがあります。

特に工場や大型施設では、デマンド管理によって基本料金を削減できる場合があります。大型設備の同時起動を避ける、デマンドコントローラーを導入する、電力監視システムを活用するなど、ピーク電力を抑える取り組みが有効です。

電力量料金の違い

電力量料金は「使用量(kWh)×電力量単価」で計算されます。この点は低圧・高圧ともに同様です。

高圧電力では、低圧と比べて電力量単価が低く設定されている料金プランがあります。ただし、受変電設備の維持管理費や基本料金なども含め、年間総額で比較することが重要です。

高圧での電力量料金は季節別・時間帯別に単価が設定されているプランも存在します。その場合、夏季・冬季は単価が高く設定されているケースが多く、繁忙期と電力使用量の多い季節が重なる施設では特に注意が必要です。

「力率割引・割増」の仕組み

高圧契約では、料金プランによって「力率割引・割増」が適用される場合があります。

力率とは何か

力率とは、電力会社から供給された電力(皮相電力)のうち、実際に機械を動かす仕事に使われた電力(有効電力)の割合のことです。パーセンテージで表され、100%に近いほど電力を無駄なく効率的に使えていることを示します。

モーターなどの誘導性負荷が多い施設では、力率が低下する場合があります。

力率85%を基準とする料金体系がある

高圧契約では、力率85%を基準として、上回る場合に基本料金を割り引き、下回る場合に割増する料金体系があります。具体的な割引率・割増率や適用条件は、電力会社・料金プランによって異なります。

現在の力率は検針票などで確認できるため、契約している料金プランの条件とあわせて確認しましょう。

力率を改善するには進相コンデンサを導入する

力率改善には、受変電設備に進相コンデンサを設置する方法があります。ただし、適切な容量や設置箇所は施設の負荷特性によって異なります。電気主任技術者や保安管理会社と相談のうえ選定してください。容量が適切でない場合は、進み力率などの問題が生じることがあります。

高圧電力の申し込みと切り替えの流れ

続いて、新たに高圧電力を申し込む場合、または電力会社を切り替える場合の手続きの流れを整理します。低圧の切り替えと比べて手続きが複雑で時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで進めることが重要です。

新規に高圧契約を申し込む場合

新築施設や、低圧から高圧に切り替える場合には、次のような流れで手続きを進めます。

新規高圧契約の手続きフロー
①電力会社への事前相談:施設の規模・設備構成を伝え、必要な契約電力と供給可能性を確認する
②受変電設備の設計・設置:新たに高圧受電設備を設ける場合は、電気設備設計会社や施工会社に依頼して、キュービクルなどの受変電設備を設計・設置する
③電力会社への正式申込:必要な設備情報や書類を提出し、供給開始に向けた手続きを進める
④保安管理体制の整備:電気主任技術者を選任するか、一定の要件を満たす場合は保安管理業務の外部委託契約を締結し、外部委託承認を受ける
⑤使用開始:検査・通電確認が完了した後、高圧電力の供給が始まる

新たに高圧受電設備を設ける場合は、受変電設備の設計・設置工事が必要となるため、計画から使用開始まで時間を要することがあります。

高圧電力の電力会社を切り替える場合

すでにキュービクルが設置済みの施設で電力会社を切り替える場合は、新規申込よりも手続きが簡単です。基本的な流れは次のとおりです。

電力会社切り替えの手続きフロー
①事前準備:現在の電気代・デマンド値・使用量データを準備する
②相見積もり:複数の電力会社に見積もりを依頼し、燃料費調整額の条件も含めて比較する
③申し込み:切り替え先の電力会社に申し込む
④切り替え手続き:スマートメーターの設定変更(必要な場合は電力会社が手配)
⑤切り替え完了(通常申し込みから1〜3ヶ月程度)

小売電気事業者を切り替えるだけであれば、通常は既存の受変電設備を継続して使用します。ただし、設備変更の有無や契約条件によって必要な手続きが異なる場合があります。保安管理に関する義務は引き続き施設側にあるため、切り替え前に必要な確認を行ってください。

高圧契約のメリット・デメリット

低圧から高圧へ切り替えるかどうか、または高圧の施設を管理するにあたって知っておくべきメリットとデメリットを整理します。

メリット①:電力量単価が低圧より低く設定される場合がある

高圧電力では、低圧と比べて電力量単価が低く設定されている料金プランがあります。一方で、受変電設備の維持管理費や基本料金なども発生するため、単価だけではなく年間総額で比較することが重要です。

メリット②:大きな電力需要に対応できる

高圧電力は、工場の生産設備や大型空調など、電力需要の大きい施設で利用されます。施設規模や設備構成に応じた受電設備を整えることで、大きな電力需要に対応できます。

計画的なメンテナンス体制を維持することで施設の安定稼働を支えます。

重要な医療機器・生産設備を持つ施設にとって、安定した電力供給は事業継続の基盤です。

デメリット①:受変電設備の設備投資と維持管理コストが発生する

高圧電力の利用には受変電設備の設計・設置が必要です。

新規設置では、受変電設備本体に加えて設計・施工などの初期費用が発生します。費用は設備容量や設置条件によって大きく異なります。

また、保安規程や外部委託承認制度の要件に基づき、月次点検や年次点検などの定期点検が行われます。外部委託の場合は原則として月次点検が毎月1回、年次点検が毎年1回ですが、一定の条件を満たす場合は頻度を延伸できることがあります。

賃貸テナントや既存の低圧設備の施設では、キュービクルを新たに設置するためのスペースや工事費用も考慮が必要です。高圧への切り替えを検討する際は、設備投資とランニングコストを含めたトータルコストで判断してください。

デメリット②:実量制ではデマンド管理が重要になる

実量制が適用される高圧契約では、最大需要電力が契約電力に影響するため、ピーク電力の管理が重要です。設備の同時起動を避ける、電力監視システムを活用するなど、継続的な管理が必要になります。

デマンド管理イメージ

高圧電力の電力会社を切り替えるポイント

電力自由化の段階的拡大により、高圧電力の電力会社も自由に選べるようになりました。適切な電力会社に切り替えることで、電気代を削減できる可能性があります。ただし、高圧電力の比較・切り替えには低圧と異なる注意点があります。ここでまとめて押さえておきましょう。

見積もり比較時に「燃料費調整額」を必ず確認する

高圧電力の見積もりでは、基本料金・電力量料金だけでなく、燃料費調整額や市場価格調整額などを含めた年間総額で比較することが重要です。

料金の算定方法や上限の有無もあわせて確認してください。

試算条件を統一して複数社を比較する

電力会社・料金プランによって、基本料金単価、電力量単価、燃料費調整額、市場価格調整額などの算定条件が異なります。複数社を比較する際は、同じ使用量・契約電力などの条件を前提に、年間総額を試算して比較しましょう。

切り替え手続きの流れと期間

高圧電力の電力会社切り替えは、申し込みから完了まで通常1〜3ヶ月程度かかります。切り替えに伴う設備工事は基本的に不要ですが、スマートメーターへの交換が必要な場合は電力会社が手配します。切り替え時期が年度末や繁忙期と重なると手続きが遅れることもあるため、余裕をもったスケジュールで進めてください。

高圧電力で電力会社を切り替えると何が変わるのか

小売電気事業者を切り替えても、送配電設備は引き続き一般送配電事業者が管理します。そのため、小売電気事業者を変更したこと自体で送電網の品質が変わるわけではありません。一方で、料金プラン・請求方法・契約条件・付帯サービスなどは切り替え先によって変わります。

マンションの高圧一括受電とは

マンションの電気代に関連して「高圧一括受電」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。これは高圧電力特有の仕組みのひとつで、入居者にとって重要な意味を持ちます。

高圧一括受電の仕組み

高圧一括受電とは、マンション全体の電気をまとめて高圧で受電し、管理会社や一括受電事業者が建物内で各住戸・共用部に分配する仕組みです。高圧の安い単価で電力を購入し、低圧に変換して入居者に供給することで、電力コストを削減できる場合があります。

マンション全体で使用する電力をまとめて価格交渉できるため、管理組合や入居者にとっては共用部の電気代削減につながるケースがあります。

入居者が注意すべき点

高圧一括受電マンションでは、入居者が個別に電力会社を選ぶことができません。電力自由化で消費者が電力会社を自由に選べるようになった現在も、高圧一括受電の物件では個別の契約変更が原則として認められていません。

物件選びの際には、高圧一括受電かどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。電力会社を自由に選びたい場合は、低圧で個別契約できる物件を選ぶ必要があります。

高圧電力に関するよくある質問

マンション高圧一括受電イメージ

Q. 低圧から高圧に切り替えるメリットはありますか?

高圧では、低圧と比べて電力量単価が低く設定される料金プランがあり、電力使用量が多い施設では電気代削減につながる可能性があります。契約電力50kW前後は、低圧・高圧の区分を確認する一つの目安です。ただし、高圧への切り替え可否や経済性は、設備構成・受電設備の有無・工事費・維持管理費などによって異なるため、個別に試算する必要があります。

Q. 高圧電力の基本料金はどうやって下げられますか?

実量制が適用される契約ではデマンド管理が基本料金削減の代表的な方法です。また、力率割引・割増が適用される料金プランでは、力率改善も基本料金の見直しにつながる場合があります。

Q. 高圧受電設備の点検はどのくらいの頻度ですか?

電気事業法に基づき、受変電設備は定期的な保安点検が義務づけられています。月次・年次の点検が一般的で、電気主任技術者を自社で選任するか、外部の保安管理会社(電気保安法人)に委託する方法があります。点検の具体的な頻度や要件については、最新の法令要件を確認してください。

参考:e-Gov法令検索「電気事業法」

Q. デマンド値が更新されてしまいました。いつ基本料金が下がりますか?

更新された最大需要電力は、その値が当月を含む過去12か月の比較対象から外れるまで契約電力に影響します。ただし、その間にさらに高い最大需要電力を記録した場合は、新しい値が契約電力に影響します。

Q. 高圧電力と低圧電力でサービスの安定性に違いはありますか?

停電リスクや電気の品質に関しては基本的に差はありません。どちらも一般送配電事業者が管理する送配電網を通じて供給されるためです。

一方、高圧受電では自家用の受変電設備を使用するため、その設備の不具合や点検が施設内の停電につながる場合があります。

まとめ|高圧電力はデマンド管理と力率管理が鍵

高圧電力について、重要なポイントを整理します。

1. 高圧電力は、一般に600Vを超え7,000V以下で供給される区分で、契約電力50kW以上が一つの目安  
2. 高圧受電では、キュービクルなどの受変電設備が必要  
3. 実量制が適用される契約では、最大需要電力(デマンド値)が契約電力に影響する  
4. 力率割引・割増の条件は、電力会社・料金プランによって異なる  
5. 電力会社を比較する際は、基本料金・電力量料金だけでなく、燃料費調整額・市場価格調整額・契約条件まで含めて年間総額で比較する

高圧電力の管理は複雑に見えますが、デマンド値と力率は、高圧電力の料金管理で重要な確認項目です。検針票などで定期的に確認し、使用量や料金単価、契約条件などとあわせて管理することが重要です。

デマンド値と力率を定期的に確認し、電力会社の切り替えや省エネ対策と組み合わせることで、高圧電力のコストをさらに最適化できます。自社の設備担当者だけで判断が難しい場合は、電気主任技術者や省エネコンサルタントに相談することも有効な手段です。

法人向けの電力契約は、料金単価だけでなく、燃料費調整額や市場価格、契約条件まで含めて比較することが重要です。

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現在の契約内容に不安がある方や、電気料金の請求書の見方がわからない方も、お気軽にご相談ください。

この記事の著者

デジタルグリッド編集部

デジタルグリッド編集部

日本初の民間企業による電力取引市場「Digital Grid Platform」の運営

デジタルグリッドのメンバーが執筆・監修しています。電力に関する基礎知識や再エネに関するコンテンツをみなさまにお届けしています。ご不明点などがあればお気軽にご相談ください。