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電力会社の乗り換え前に知っておくべき7つのデメリット|失敗を防ぐチェックリスト付き
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電力会社の乗り換え前に知っておくべき7つのデメリット|失敗を防ぐチェックリスト付き

電力知識

電気代を安くしたいけれど、「乗り換えで失敗した」「結局高くなった」という声を聞いて不安になっていませんか。電力会社の乗り換えは手続きこそ簡単ですが、知らずに進めると思わぬ落とし穴にはまることがあります。

たとえば契約先の倒産・撤退リスク。資源エネルギー庁の資料によると、2025年1月末時点で登録されている小売電気事業者747者に対し、自由化以降に事業廃止や法人の解散等に至った件数は累計126件にのぼります。料金の安さだけで選ぶと、こうしたリスクを見落としがちです。

この記事では、乗り換えで後悔しないために知っておくべき7つのデメリットを整理します。最後に、失敗を防ぐためのチェックリストもご紹介します。

この記事でわかること

  • 電力会社を乗り換えると、かえって損することがあるのはなぜ?
  • 乗り換え前に確認しておきたいポイント
  • 乗り換えで得しやすい人・損しやすい人の違い

電力会社の乗り換えで考えられる7つのデメリット

電力会社の乗り換えにはメリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。まずは全体像を整理しておきましょう。

#

デメリット

重要度

対処難易度

適切に選ばないと電気代が高くなる

★★★

違約金が発生することがある

★★

セット割の解除でかえって損をすることがある

★★

新電力の倒産・撤退リスク

★★★

オール電化・マンション一括受電の乗り換え制限

★★

支払い方法やサポート体制の違い

燃料費調整額の上限なしで電気代が急騰するリスク

★★★

これら7つを順番に解説していきます。自分にとってどれが影響しそうかを確認しながら、読み進めてください。

デメリット①:適切に選ばないと電気代が高くなる

最も多い失敗パターンが、適切なプランを選ばずに乗り換えた結果、電気代がかえって高くなるケースです。乗り換え=必ず安くなる、というわけではありません。

使用量が少ない家庭で割安にならないケース

大手電力会社の従量電灯プランは、使用量が増えるほどkWhあたりの単価が上がる「三段階料金制」を採用しています。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、120kWhまでが29円80銭、120〜300kWhが36円40銭、300kWhを超える分は40円49銭です。新電力にはこの段階制を撤廃して一律の単価にしているプランが多く、その場合は使用量が多い家庭ほど単価の差が出やすくなります。

ただし、これはあくまでプラン設計上の傾向で、すべての新電力に当てはまるわけではありません。基本料金が0円のプランや、市場価格に連動するプランは、使用量の多い少ないだけで有利・不利を判断できません。目安として、環境省の家庭CO2統計によると1世帯あたりの年間電気使用量は全国平均で3,911kWh(月あたり約326kWh)、1人世帯では月200kWh程度です。

参考:環境省『家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値)』

参考:東京電力エナジーパートナー『従量電灯B・C』

乗り換えで得をするかどうかは、検針票で過去半年〜1年の使用量を確認したうえで、複数社のシミュレーションで確かめるほかありません。

オール電化向けプランからの乗り換えで損するケース

オール電化住宅でエコキュートや蓄熱暖房を使っている家庭は、深夜料金が安く昼間料金が高い特殊な料金設計のプランを契約しているケースが多いです。このオール電化向けプランは、一般家庭向けの新電力プランと料金構造がまったく異なります。

もし普通の従量電灯プランに乗り換えてしまうと、深夜の電気代が一気に高くなり、年間で数万円損するケースもあります。オール電化住宅の場合は、必ずオール電化向けプランを提供している電力会社の中から選んでください。

事前シミュレーションで防げる失敗

「適切に選べているか不安」という方は、電力会社のWebサイトにある料金シミュレーターを活用してください。検針票に書かれた現在の使用量・契約アンペア・電気代を入力するだけで、乗り換え後の電気代を試算できます。

複数社のシミュレーション結果を比較することで、自分の使用パターンに合った電力会社を選びやすくなります。最低でも3社程度は比較することをおすすめします。

スマートフォンとパソコンで電気料金を比較する女性(乗り換え前の試算)

デメリット②:違約金が発生することがある

乗り換えというと違約金が心配になりますが、現在は違約金や解約金を設定していないプランが多数あります。ただし一部のプランには契約期間の縛りと違約金が残っており、安いプランほど契約期間が長く設定されているケースもあるため、契約前の確認は欠かせません。

違約金が設定されている場合の相場

違約金が設定されている場合の金額は、550円から8,800円程度と会社・プランによって幅があります。1,000円〜3,000円台が中心で、家庭向けでは定額型で1万円を超える設定はほとんど見られません。ただし残存月数に応じて加算される方式では解約時期によって1万円を超えることがあり、法人向けの契約でも1万円を超える解約金が設定されているケースがあります。

具体的な例を示します。

・HTBエナジー「たのしいでんき」:供給開始日から1年未満に他社へ切り替える場合、違約金1,100円(引っ越しに伴う解約は対象外)
・ENEOSでんき「にねん とく2割」:更新月以外に解約する場合、解約手数料1,100円
・ソフトバンクでんき「おうちでんき」:解約事務手数料550円(プランにより契約解除料5,000円が別途発生。エリア・プランによっては発生しない場合もあり)
・東京電力エナジーパートナー「プレミアムプラン」:期中解約金 1年契約3,000円、2年契約5,000円
・大阪ガス「ベースプランB-G」:長期2年割引の期中解約で8,800円(税込)
・大阪ガス「スタイルプランP」など:月額490円(税込)×残りの契約月数で計算する方式もあり

参考:HTBエナジー『契約の違約金について』
参考:ENEOSでんき『にねん とく2割』
参考:ソフトバンク『でんきの解約に伴う違約金・手数料について』
参考:東京電力エナジーパートナー『電気・ガスの契約を解約する場合、解約手数料や違約金などはかかりますか』
参考:大阪ガス『ベースプランB-G』
参考:大阪ガス『大阪ガスの電気契約を解約した場合に解約金はかかりますか?』

経済産業省の「電力の小売営業に関する指針」では、違約金等の水準が著しく高額であるなど、契約の解除等を著しく制約する契約条項を設けることを「問題となる行為」として明記しています。この指針もあり、現在は違約金なし、または数千円程度に設定する電力会社が主流になっています。

小売電気事業者が、需要家からの申出による小売供給契約の変更又は解除等に伴う違約金等の水準が著しく高額であるなど、小売供給契約の解除等を著しく制約する内容の契約条項を設けることは、需要家の選択の自由を不当に制限するものであり、電気事業の健全な発達を図る観点から問題となる。
参考:経済産業省『電力の小売営業に関する指針』

ただし、ガス・通信のセット割契約や法人向けの長期割引契約など、一部のプランでは現在も高額な違約金が設定されているケースがあります。安さに惹かれて長期契約を結ぶ前に、契約期間中の違約金リスクを必ず試算してください。

違約金がかかるケース・かからないケース

違約金が発生する主なケースは次のとおりです。

・契約期間(1〜2年)内に解約した場合
・セット割を解除する場合
・契約更新月以外のタイミングで解約する場合
・契約期間に関わらず、解約事務手数料が一律発生するプラン

一方、違約金がかからない電力会社・プランの例としては次のようなものがあります。ミツウロコでんきは契約期間が原則1年(自動更新)ですが、期間内に解約しても違約金は発生しません。Looopでんきは2026年4月の約款改定で契約期間の定めがなくなり、いつ解約しても解約金はかかりません。乗り換え前に必ず契約条件を確認してください。また、引っ越しなどやむを得ない理由の場合は、違約金が免除されるケースもあります。

参考:ミツウロコでんき『よくあるご質問』
参考:Looopでんき『電気需給約款改定のお知らせ』

検針票を見ながら電気料金を確認する夫婦(電力会社の乗り換え検討)

デメリット③:セット割の解除でかえって損をすることがある

見落としやすいデメリットの3つ目が、セット割の解除による影響です。電気だけ単独で乗り換えたつもりが、ガスや通信のセット割引も同時に消えてしまい、全体ではマイナスになるケースがあります。

ガス・通信のセット割解除に注意

近年、電気とガス・インターネット・携帯電話をまとめて1つの会社と契約する「セット割」が普及しています。たとえば、auでんき+auひかり+auスマホ、東京ガス+東京ガスの電気、ソフトバンクでんき+ソフトバンク光など、業界横断的に展開されています。

セット割契約者が電気だけ別の新電力に乗り換えると、それまで適用されていたガス料金やスマホ料金の割引も連動して解除されることがあります。電気代は月500円安くなったが、スマホ料金が月1,000円上がった——というようなケースが起こり得ます。

乗り換え前にセット割の影響を試算する

セット割を利用している方は、乗り換え前に必ず以下を確認してください。

現在のセット割の内訳(電気・ガス・通信のうち、どれが割引対象か)
電気を別の会社に切り替えた場合、セット割がどう変わるか
ガス・通信の単独料金がいくらになるか

これらを試算した上で、トータルでお得になるかを判断してください。電力会社のシミュレーターは電気代のみの試算であることが多いため、自分でセット割を含めた総額比較をすることが重要です。

デメリット④:新電力の倒産・撤退リスク

2022年以降の燃料価格の高騰を背景に、新電力の倒産・撤退が相次いでいます。乗り換え先を選ぶ際は、料金の安さだけでなく、その電力会社が安定して事業を継続できるかどうかも判断材料に入れる必要があります。

新電力の倒産・撤退件数の推移

資源エネルギー庁が公表しているデータによると、2025年1月末時点の登録小売電気事業者は747者です。一方、自由化以降に事業廃止や法人の解散等に至った事業者は、累計126件にのぼります。

帝国データバンクの調査(2024年3月時点)では、「撤退」「倒産・廃業」した新電力会社は累計119社。2年前の2022年3月時点は17社だったため、7倍に増えた計算です。背景には、2020〜2021年冬の寒波による電力市場価格の急騰、2022年以降のロシアによるウクライナ侵攻と燃料価格高騰があります。

参考:資源エネルギー庁『電力小売全面自由化の進捗状況について』(2025年2月28日)
参考:帝国データバンク『「新電力会社」事業撤退動向調査(2024年3月)』

倒産しても電気はすぐには止まらない

「契約中の新電力が倒産したら、電気が止まるのでは」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、その心配は基本的に不要です。電気の供給インフラ(送配電網)は東京電力パワーグリッドや関西電力送配電といった一般送配電事業者が管理しています。小売電気事業者が倒産しても、送配電網自体はそのまま維持されるため、突然電気が止まることはありません。

また、経済産業省のガイドライン「電力の小売営業に関する指針」では、小売電気事業者側の都合で契約を解除する場合、低圧契約なら解除を希望する日の60日前までの期間を確保し、供給停止日や解約理由、問い合わせ先などを需要家へ通知することが求められています。これを怠ることは「問題となる」行為とされており、万が一の場合も切り替え先を探す時間的な余裕があります。

参考:経済産業省『電力の小売営業に関する指針』

ただし、まったく影響がないわけではありません。契約先が変わるため、自分で別の電力会社へ切り替える手続きが必要になります。移行先のプランによっては、元の契約より電気代が高くなるケースもあります。

なお、供給先が見つからない場合のセーフティネットである「最終保障供給」は、一般送配電事業者が高圧以上の需要家に提供する制度で、一般家庭(低圧)は対象外です。ただし低圧でも、大手電力会社の従量電灯プランなど供給を受けられる選択肢は残っています。撤退の案内が届いたら、早めに切り替え先を決めてください。

参考:東京電力パワーグリッド『最終保障供給契約について』

倒産リスクを避ける電力会社の選び方

倒産リスクの低い電力会社を選ぶには、次のポイントを確認してください。

・資本背景:大手企業の子会社・上場企業など、経営基盤が安定しているか
・供給実績:電力事業の継続年数・契約件数・販売量
・電源調達の方針:市場調達・相対契約などの調達方法や、価格変動へのリスク対策が公式サイトで説明されているか
・情報開示:公式サイトでプレスリリース・財務情報が定期的に更新されているか

いずれも公式サイトや会社概要のページで確認できる範囲の情報です。すべてを満たしている必要はありませんが、料金の安さだけで決めてしまう前に、こうした点にも目を通しておくと安心して契約できます。

デメリット⑤:オール電化・マンション一括受電は乗り換え制限あり

住宅形態によっては、そもそも電力会社を自由に選べないケースがあります。事前に自分の住居がどのような契約形態かを確認しておくことが重要です。

マンション高圧一括受電は個別に乗り換え不可

マンションが「高圧一括受電」を採用している場合、入居者が個別に電力会社を選ぶことはできません。高圧一括受電とは、マンション全体で高圧電力を一括契約し、管理組合や一括受電事業者が建物内で各住戸に分配する仕組みのことです。

資源エネルギー庁の資料によると、高圧一括受電の契約期間は10〜15年程度と長期に設定されるのが一般的です。受変電設備や建物内の配電設備のコストを回収する必要があるためで、契約期間中は入居者個別の乗り換えが原則認められません。電力自由化で「自由に電力会社を選べる」と思っていても、一括受電マンションでは選択肢がないのです。

参考:資源エネルギー庁『共同住宅等に対する電気の一括供給の在り方について』

自分のマンションが一括受電かどうかは、検針票や請求書、賃貸契約書で確認できます。判断が難しい場合は、管理組合や管理会社に問い合わせてください。

オール電化向けプランの選択肢は限定的

オール電化向けの時間帯別プランに対応している新電力は限られています。乗り換え可能な選択肢は通常の家庭より少なく、十分な比較ができないことが多いのが現状です。

オール電化を継続したまま乗り換えたい場合は、対応プランのある電力会社に絞って検討してください。

賃貸物件でも管理会社契約だと乗り換え不可

賃貸アパート・マンションで、家賃や管理費に電気代が含まれている場合は、管理会社や大家が電力会社と契約していることが多く、入居者が個人で乗り換えることはできません。

自宅に検針票が個別に届いていれば、入居者が個別に電力会社と契約していることになるため、乗り換え可能です。判断に迷う場合は、管理会社や大家に契約形態を確認してください。

デメリット⑥:支払い方法やサポート体制が変わる

乗り換え前に確認しておきたいのが、支払い方法とサポート体制です。料金以外の部分で「思っていたのと違った」となりやすいポイントです。

支払い方法が限定されるケース

大手電力会社では、口座振替・クレジットカード・コンビニ払いなど多様な支払い方法が選べますが、新電力ではクレジットカード払いのみという会社も存在します。

コンビニ払いを使いたい方や、クレジットカードを持っていない方は、希望する支払い方法に対応しているかを事前に確認してください。

サポート窓口の質・対応時間の違い

新電力は大手と比べてサポート規模が小さい傾向があります。電話対応の受付時間が短い、土日対応がない、メールのみといったケースもあります。

引っ越しや契約変更など、問い合わせが発生しやすい状況が予想される方は、料金と合わせてサポート体制の充実度も比較材料に加えることをおすすめします。

電力会社のカスタマーサポート窓口(問い合わせ・サポート体制)

デメリット⑦:燃料費調整額の上限なしで電気代が急騰するリスク

2022〜2023年の燃料価格高騰時に多くのユーザーを悩ませたのが、燃料費調整額の上限がないプランです。これが7つのデメリットの中でも深刻なリスクのひとつです。

燃料費調整額に上限がないプランの注意点

燃料費調整額とは、原油・LNG・石炭などの燃料価格の変動を毎月の電気料金に反映させるための調整費です。上限があるかどうかは、「大手電力か新電力か」ではなく「規制料金か自由料金か」で決まります。

大手電力会社の規制料金プラン(従量電灯A・Bなど)には、需要家保護の観点から基準燃料価格の1.5倍という上限が設けられています。2008年の燃料価格の大幅かつ急激な変動を受け、2009年度の制度見直しで導入されたものです。

参考:資源エネルギー庁『燃料費調整制度について』

一方、新電力の料金プランや大手電力の自由料金プランには、この上限を設ける義務がありません。2022年以降の燃料高騰を機に、多くの事業者が次々と燃料費調整額の上限を撤廃しました。auでんきとENEOSでんきは2022年11月、ドコモでんきは2023年1月にそれぞれ上限を撤廃しています。

上限が撤廃されたプランを契約していた利用者のあいだでは、月の電気代が想定を大きく上回るケースが相次ぎ、ニュースでも大きく取り上げられました。

参考:auでんき『燃料費調整制度の見直しについて』
参考:ENEOS株式会社『ENEOSでんきにおける燃料費調整額の変更について』
参考:ドコモでんき『燃料費調整額の上限はいつから廃止されましたか』

プラン選定時に「燃料費調整額の上限」を必ず確認

乗り換え先を選ぶ際は、燃料費調整額の取り扱いを必ず確認してください。確認すべきポイントは次の3つです。

・燃料費調整額に上限設定があるか
・「燃料費調整額はエリア電力会社(大手電力)と同単価」と記載があるか
・過去12ヶ月の燃料費調整額の推移はどうなっているか

公式サイトに燃料費調整額の単価や推移が明示されているプランは、比較的透明性が高く、判断材料が揃っています。記載が曖昧な場合は、電力会社に直接問い合わせて確認することをおすすめします。

燃料費調整額の上限を維持しているプランは、現在ではごく一部です。たとえばコスモでんきは料金種別定義書で上限を明記しており(プランにより異なります)、奈良電力は関西電力の規制料金の燃料費調整単価をそのまま適用する約款のため、結果として上限が効く仕組みになっています。

参考:コスモでんき『コスモでんきスタンダード 料金種別定義書』
参考:奈良電力『電気需給約款』

上限の有無は各社の供給約款や料金種別定義書に記載されており、料金ページだけでは判断できないこともあります。契約前に必ず確認してください。

【チェックリスト】乗り換え前に確認すべき10項目

これまで紹介した7つのデメリットを踏まえて、乗り換え前に確認すべき10項目をチェックリスト形式にまとめました。乗り換えを検討する際にこのリストを使って、ひとつずつ確認してください。

✅ 乗り換え前チェックリスト10項目

□ 現在の使用量(月kWh)と契約アンペアを把握している
□ 自分の住居形態(戸建て・マンション・賃貸)と契約形態を確認した
□ オール電化の場合、対応するプランがある新電力に絞っている
□ シミュレーションで複数社(3社以上)を比較した
□ 燃料費調整額の上限設定の有無を確認した
□ 違約金・契約期間の縛りを確認した
□ セット割への影響を試算した
□ 電力会社の信頼性(資本背景・供給実績)を調べた
□ 支払い方法・サポート体制が許容できる範囲か確認した
□ 契約先が撤退・倒産した場合、自分で切り替え先を探す必要があることを理解している

すべての項目にチェックがついたら、安心して乗り換えに進めるはずです。不安が残る項目があれば、電力会社に直接問い合わせて疑問を解消してから契約してください。

(参考)電力会社の乗り換えのメリット

ここまでデメリットを整理してきましたが、もちろん乗り換えにはメリットも多くあります。両面を踏まえて判断できるよう、代表的なポイントを確認しておきましょう。

電気代が安くなる可能性

自分の使用パターンに合ったプランを選べば、年間数千円から数万円の電気代削減が期待できます。電力使用量が多い家庭ほど、削減効果が大きくなる傾向にあります。

ライフスタイルに合ったプランが選べる

夜間電力が安いプラン、基本料金ゼロのプラン、平日昼間に在宅勤務する方向けのプランなど、自分の生活スタイルに合ったプラン選びが可能です。電力自由化前の画一的なプランとは違い、選択肢が広がりました。

再エネ電力など環境配慮の選択肢

CO2排出量を抑えた再生可能エネルギー由来の電力を選ぶことも可能です。電気を使うだけで脱炭素社会の実現に貢献できる時代になっています。GX(グリーントランスフォーメーション)に関心がある方は、再エネプランも選択肢に加えてみてください。

乗り換えで後悔しやすい人・メリットを受けやすい人

ここまで読んできて「結局自分は乗り換えるべきか?」と迷っている方のために、後悔しやすい人と乗り換えのメリットを受けやすい人の特徴を整理します。

乗り換えで後悔しやすい人

・電気使用量が少ない世帯(1人世帯の平均は月200kWh程度)
・オール電化住宅で深夜料金が安いプランを契約している方
・セット割で電気・ガス・通信を1社にまとめている方
・細かい比較が苦手で、料金プランの仕組みに自信がない方

乗り換えのメリットを受けやすい人

・電気使用量が多い家族世帯(4人世帯の平均は月480kWh程度)
・ガスや通信のセット割引にまだ加入していない方
・再エネ電力を選びたい方
・夜型・昼型など生活リズムが安定していて、時間帯別プランを活かせる方
・料金プランを丁寧に比較検討できる方

電力会社の乗り換えに関するよくある質問

Q. 新電力に乗り換えて電気の品質は変わりますか?

変わりません。電気は同じ送配電網(電線・変電所など)を通って届きます。電圧・周波数などの品質は一般送配電事業者が管理しており、小売電気事業者が変わっても影響はありません。停電が増えることもありません。

Q. 乗り換え手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

低圧(一般家庭)の場合、資源エネルギー庁によると、手続きに必要な期間はスマートメーターへの交換工事が必要な場合でおよそ2週間程度、交換工事が不要な場合はおよそ4日程度です。ただし実際に切り替わるのは手続き完了後の次回検針日からになるため、申し込むタイミングによっては1ヶ月前後かかることもあります。

高圧(中規模以上の事業者)の場合、託送契約の切り替え手続きはスイッチング日の9営業日前までの申し込みが原則です。ただし見積・審査・契約締結に時間がかかるため、余裕をもったスケジュールで進めてください。

参考:資源エネルギー庁『電力会社を切り替えるには?』

Q. 元の電力会社に戻すことはできますか?

できます。元の電力会社に申し込み手続きをすれば再契約が可能です。ただし、現在契約中の新電力に違約金や最低利用期間の設定がある場合は、違約金が発生することがあります。契約内容を確認した上で判断してください。

Q. 乗り換えに工事費用はかかりますか?

原則としてかかりません。スマートメーターの設置が必要な場合は、一般送配電事業者が交換します。メーターの取付場所での作業となるため立ち会いも不要で、原則として停電もありません。ただし、メーターの移設などを伴う場合は費用が発生することがあります。

参考:東京電力パワーグリッド『よくあるご質問』

Q. 旧電力会社への解約手続きは自分でする必要がありますか?

不要です。新しい電力会社が旧電力会社への解約手続きを代行してくれます。自分で連絡する必要はありません。ただし、引っ越しを伴う場合は別途、旧住所での解約連絡が必要になります。

まとめ|失敗を避けて、正しく乗り換えるための準備を

電力会社の乗り換えで後悔しないためのポイントを整理します。

1. 乗り換え=必ず安くなるわけではない。事前にシミュレーションして、自分の使用量に合ったプランか確認する
2. 契約期間・違約金・セット割への影響をすべて確認する。総額で判断することが大切
3. 新電力の倒産・撤退リスクがあるため、資本背景や供給実績で電力会社を選ぶ
4. マンション一括受電・オール電化・賃貸物件の場合は、乗り換え可否を事前に確認する
5. 燃料費調整額の上限設定の有無を必ず確認する。上限なしプランは燃料高騰時のリスクが大きい

チェックリストの10項目を確認してから乗り換えを進めることで、後悔するリスクを減らせます。表面的な料金だけでなく、自分のライフスタイルや住居形態に合った選択ができれば、電気代の削減は家計改善の着実な一手になるはずです。

この記事の著者

デジタルグリッド編集部

デジタルグリッド編集部

日本初の民間企業による電力取引市場「Digital Grid Platform」の運営

デジタルグリッドのメンバーが執筆・監修しています。電力に関する基礎知識や再エネに関するコンテンツをみなさまにお届けしています。ご不明点などがあればお気軽にご相談ください。